SSブログ

着物をほどいて気づいたこと [着物地について]

ほどいてみて、袖口の工夫を知りました
sodehodoki.jpg
趣味で洋服を作り始めて、かれこれ30数年になる。
だけど、なのか、だからこそなのか着物を解いて洋服にすることには長くためらいがあった。
着物のままで着るべきではないか、切ってしまえば元に戻せないのだから、せめて着物のまま譲るべきではないのかと漠然と思っていた。

そんなことを感じていたのは、私だけではないだろう。
その結果、誰にも、一度も手を通されたことのない着物が、大量に市場にあふれることになった。
価格も、破壊的といっていいほど安い。

一昨年、母が亡くなって、自分自身が一通りの(喪服、留袖、付け下げ、小紋、コート)着物を所有することになり(母が誂えてくれていたのを、「いらない、いらない」と受け取らずにいた。ごめんなさい)、「洋服にして、とにかく着よう」と決断できた。

そうして何枚か着物を解いてみたら、いくつものうれしい発見があった。
画像で紹介している袖の工夫がまず、その一例。
裏地に袖口部分だけ、別の布地をもってきて、切り替えて縫ってある。チラッと裏が見える、その色味にこだわりがあるのだ。裏地の乳白色も正絹だし、決して悪い色ではない。だけど、ひと手間をかける。

さらに袖下の丸み。
洋服を縫うテクニックを応用するなら、カーブをきれいに処理する場合、縫い代はできるだけ小さくする。そのほうがかさばらず、カーブがなめらかになる。

それなのに、着物の仕立ての場合、縫い糸で小さくギャザーを寄せて、丸みを出してあった。縫い代は四角く残したまま。
できるだけ布地を切らずに、縫い代をおおきくしてでも一反を使い切る工夫を体感できた。縫い手の知恵や布地を大切に思う気持ちが伝わってくる。
それも、自分勝手な思い込みかもしれないが‥。

だけど、解いてみるまで、まったく知らなかった着物の世界を、今はワクワクしながら堪能している。
nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。