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カイコと絹の本 [本のこと]

カイコという昆虫の力に驚いている。
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 日本のカイコ研究は世界的にも優れているらしく、現在もなおトップリーダーを走っている。着物リメイクにあたって、絹生地の洗濯実験を自分でやってみよう、などと考えていたが、実態としてはその必要はないようだ。絹の扱いについては、すでに数々の研究が蓄積されているからだ。
 例えば、今の日本で「繊維」という名称のつく唯一の学部は信州大学繊維学部であり、この学部は絹糸、絹織物の研究のために誕生し、現在もその歴史を受け継いでいる。学会としては日本シルク学会、日本蚕糸学会と二つの学会があり、さらに100年以上の歴史をもつ「大日本蚕糸会」という団体があり、それぞれに各種団体の研究を援けている。
 それもこれも、日本が長く「絹製品」を輸出の柱にしていた時代があったからだ。かつて、絹はもうかる繊維だったのだ。
 ある意味、専門化しすぎていて素人向けに書かれた本が少ないというのも実情なのかもしれない。専門家による解説をよく書いてくださっているのは、小松計一氏で、図書館から借りることができた。正月休み、カイコと絹についての解説本を読んで、まずは勉強です。

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転機となった本との出会い [本のこと]

ブログで紹介するにあたり、トップに選びたいのはアンドルー・ゴードン著『ミシンと日本の近代』です。
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この本に出会っていなければ、ミシンカフェを開業するという選択はなかったと思います。2013年の11月初め、胸にこみあげるものがありながら本を読み終え、「そうだ、ミシンに係ることにしよう」と決心がつきました。勤め人で人生を終えることに納得できず、独立しようともがいていました。
「何をすればいいのだろう?」
その答えは、自分自身の人生の中にありました。父を亡くしてから、37歳だった母は在宅で仕事をしてくれました。私の「お母さんは家に居てほしい」という我儘を聞き入れての職業選択です。それを可能にしたのは、縫製の賃仕事でした。
ミシンという機械がコンパクトで家屋に据え付け可能だったからこそ、在宅で家族を養うに足る収入を得られたわけです。
 アンドルー・ゴードンはアメリカ生まれで1995年以降はハーバード大学の教授になっています。専門は日本近現代史、とくに社会史を探っているそうですが、「日本の消費者の変化がわからない」と悩んでいたところ、ミシンに着目することで課題が解決できたとか。
 江戸時代末期にミシンが日本に入ってから、いかに日本社会に根付き、女性の存在を高めてきたか…、母の人生を深く意味づけしてくれたと言っていいでしょう。
 この本と出会うきっかけは、加藤陽子さんの毎日新聞での書評です。昨年、学術会議のメンバーから除外という指示を政府が出したときには、かなり憤りを抱きました。

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