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カイコと絹の本 [本のこと]

カイコという昆虫の力に驚いている。
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 日本のカイコ研究は世界的にも優れているらしく、現在もなおトップリーダーを走っている。着物リメイクにあたって、絹生地の洗濯実験を自分でやってみよう、などと考えていたが、実態としてはその必要はないようだ。絹の扱いについては、すでに数々の研究が蓄積されているからだ。
 例えば、今の日本で「繊維」という名称のつく唯一の学部は信州大学繊維学部であり、この学部は絹糸、絹織物の研究のために誕生し、現在もその歴史を受け継いでいる。学会としては日本シルク学会、日本蚕糸学会と二つの学会があり、さらに100年以上の歴史をもつ「大日本蚕糸会」という団体があり、それぞれに各種団体の研究を援けている。
 それもこれも、日本が長く「絹製品」を輸出の柱にしていた時代があったからだ。かつて、絹はもうかる繊維だったのだ。
 ある意味、専門化しすぎていて素人向けに書かれた本が少ないというのも実情なのかもしれない。専門家による解説をよく書いてくださっているのは、小松計一氏で、図書館から借りることができた。正月休み、カイコと絹についての解説本を読んで、まずは勉強です。

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着物リメイクのデザイン傾向 [着物地について]

着物リメイクという分野は、たぶん20年前には需要がなかったと思う。というか、少数の方にしか興味を持たれていなかった。振り返れば、森南海子先生が着物を上下に分割して二部式の着やすい着物をリフォームして作っておられたりしたが、一冊の本にまとめたりはされていなかった。

ところが、現在は、10冊以上の着物リメイク本が出ていて、人気作家もいる。特に人気なのは、「型紙いらず」という方向。着物のサスティナブルな面を評価し、なるべく着物にはさみを入れずに仕上げようというもの。

考え方は、私も好きなのだが、着物にはやはり弱点がある。洗濯や保管などの「管理」が大変なことだ。本当に永遠に着続けることはできない。それよりも、たびたび手を通して服としての寿命をまっとうするほうがよいのではないか?

少し、そういう考え方なのかなと思うのが「志水美香さんの着物リメイク」本。作品の中からパンツを作ってみた。だけど、やはり身体に添うという点では不満がある。少し、改善の余地があるように思った。kimonopants-1.jpgkimonopant-2.jpgsimizubook-1.jpg
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洋裁と型紙の関係 [型紙のこと]

ミシンカフェを開くにあたって、「型紙作成能力」を備えるべきだと考えた。
というのは、それまで10数年、洋裁を趣味にしてきて、型紙づくりに悩まされてきたからだ。
当時の私は、身長157㎝、体重50キロ、バスト86,ウエスト67,ヒップ89と既製品の9号サイズで日本女性の平均的な体型だった。だから、特殊な型紙補正が必要なわけではない。それでも、「型紙付きの洋裁本」で該当サイズの型紙を使っても体に合う服作りが難しかった。
そもそも、実物大型紙のトレースそのものが鬱陶しい作業で、A1サイズの紙に複数の線が交差している中から自分に該当する線を選び出すことにかなりの集中力を要する。無事に選べても、縫い代を付けながら、大きな紙に線を描き直さなければならない。なぜ、CDとかで型紙のPDFデータが付いていないのだろうと不思議だった。「読者はがき」に「型紙データを付録にしてください」と書いたことが何度もある。
そうしたいくつかのハードルを越えて写した型紙なのに、出来上がった服が体に合わない。理由は、作家によって基準となる寸法(原型といいましょうか)が違っているからだ。
当時、洋裁本の世界で、人気があったのは茅木さんを筆頭に4-5名の作家なのだが、彼女たちはもちろん体型が違う。後付けで納得したのだが、やはりご自分の体型を基準に洋服をデザインしておられる。
私が最も「合わない」型紙だった茅木さんの場合、ほっそりというか身体の厚みがあまりない体型で、中肉中背といっても鳩胸体型の私とはかなり違う。
そんなチェックができたのは、茅木さんの本の作品を2着ぐらい作ってからだった。事前に何とかしたい!できるはずだ、という思いだった。
エディトでは、型紙を依頼された場合、「手持ちの型紙でそのまま使えそう」と思っても、細かいところまで寸法を確認している。そして「背中がきれいだな」等、お客様の体型のよいところを表現できる型紙に微調整して販売するようにしている。そうした微調整がなかなか楽しい作業なのだ。(画像はCADの画面)cad画面.jpg
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着物をほどいて気づいたこと [着物地について]

ほどいてみて、袖口の工夫を知りました
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趣味で洋服を作り始めて、かれこれ30数年になる。
だけど、なのか、だからこそなのか着物を解いて洋服にすることには長くためらいがあった。
着物のままで着るべきではないか、切ってしまえば元に戻せないのだから、せめて着物のまま譲るべきではないのかと漠然と思っていた。

そんなことを感じていたのは、私だけではないだろう。
その結果、誰にも、一度も手を通されたことのない着物が、大量に市場にあふれることになった。
価格も、破壊的といっていいほど安い。

一昨年、母が亡くなって、自分自身が一通りの(喪服、留袖、付け下げ、小紋、コート)着物を所有することになり(母が誂えてくれていたのを、「いらない、いらない」と受け取らずにいた。ごめんなさい)、「洋服にして、とにかく着よう」と決断できた。

そうして何枚か着物を解いてみたら、いくつものうれしい発見があった。
画像で紹介している袖の工夫がまず、その一例。
裏地に袖口部分だけ、別の布地をもってきて、切り替えて縫ってある。チラッと裏が見える、その色味にこだわりがあるのだ。裏地の乳白色も正絹だし、決して悪い色ではない。だけど、ひと手間をかける。

さらに袖下の丸み。
洋服を縫うテクニックを応用するなら、カーブをきれいに処理する場合、縫い代はできるだけ小さくする。そのほうがかさばらず、カーブがなめらかになる。

それなのに、着物の仕立ての場合、縫い糸で小さくギャザーを寄せて、丸みを出してあった。縫い代は四角く残したまま。
できるだけ布地を切らずに、縫い代をおおきくしてでも一反を使い切る工夫を体感できた。縫い手の知恵や布地を大切に思う気持ちが伝わってくる。
それも、自分勝手な思い込みかもしれないが‥。

だけど、解いてみるまで、まったく知らなかった着物の世界を、今はワクワクしながら堪能している。
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着物地を洋服にした第一号 [着物地について]

友人に贈った、「着物地リメイク服」第一号を紹介します。
kimonorime-1.jpgこれは何という生地なのか、紬風の格子柄です。購入したときには「素材も産地もわからない」と言われました。中古の着物を扱うお店は、そういう「正体はわかりません」という売り方をしていることが多いです。糸を焼いてみたらタンパク質が焦げるにおいがしたので、絹と判断しました。
傷みは少なかったですが、表身頃にやや日焼けがあったので、そこは避けました。ほどいてから、牛乳せっけんを溶かした液で浸し洗いをし、よくすすいで乾かしました。
服ができたら友人に贈るつもりだったので、洗わないという選択はできません。ともかく、10分ほどで洗濯は済ませ、陰干しで水気をとって、生乾きのうちにアイロンがけ。特に風合いの変化はなかったように感じました。縮みもほとんどしませんでした。
ボタンホールを開けること抵抗があり、ボタン止めは、ループ仕立て。ノーカラーで、見返しに別の派手な着物地を使って、アクセントにしてみました。
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